
営業マネージャーが“全部見る”時代は終わった ~SalesOpsとの分業と融合の新常識~
こんにちは。
セールスリクエスト代表の原です。
営業マネージャーとSalesOpsは、これからどんどん分業しつつも融合していくんじゃないかと思っています。
営業マネジメントの現場って、昔に比べて本当にやることが増えました。
商談を追って、数字を見て、メンバーを育てて、採用にも関わって、カルチャーを作る。
もはや「プレイングマネージャー」でカバーできる領域じゃないんですよね。
最近、「やることが増えすぎて、もうマネージャーひとりで全部は見切れない」という声をよく聞きます。
実際その通りで、これからのマネージャーは、意思決定・育成(採用)・営業チームの先導の3つに役割を集約していくべきだと感じます。
それくらい営業マネジメントの職域は“広く、険しく”なってきている。
営業マネジメントは「ピープル」と「パイプライン」に分けて考える
営業マネジメントを大きく2つに分解すると、「ピープル」と「パイプライン」になります。
- ピープル: 採用、育成、モチベーション、カルチャー形成など、人に関わる領域
- パイプライン: 商談、受注率、活動量など、数字で可視化できる領域
この2つは性質がまったく異なります。
そして、どちらも“やりきろう”と思うと、1人ではまず無理です。
パイプラインはSalesOpsに任せたほうがいい
SalesOpsは、営業部門を仕組みとデータで支える専門チームのこと。
商談管理、CRM運用、受注率の分析、プロセス改善など、営業活動の“土台”を整える存在です。
このSalesOpsが得意なのは、パイプライン領域のモニタリングや改善です。
たとえば、
- 商談数の先読み
- 受注確度の落ち込み検知
- 当月スリップ案件の把握
- 活動量の偏りチェック
こうした“定量的に可視化できる動き”は、Ops側が仕組み化し、アラートを出せる体制を作ったほうがいい。
マネージャーが数字を見張り続けるのは、正直コスパが悪すぎます。
SalesOpsが情報を集めて構造化し、マネージャーは意思決定と打ち手に集中する。
この分担が現実的だし、強い営業組織はだいたいこの構造をとっています。
ピープル領域は、マネージャーの腕の見せ所
一方で、ピープル領域はまだまだ“人間の領域”です。
Slackでの発言量や、日報の変化、1on1のテーマなど、データで傾向を掴むことはできますが、
それが「打ち手に直結する情報」になるかというと、正直難しい。
最終的にはマネージャー自身が部下と対話して、空気を感じて、言語化していく必要があります。
SalesOpsがヒントを出すことはできますが、ピープル領域はマネージャーが主導すべき領域。
むしろ、ここに集中できるようにパイプラインからマネージャーを“外す”べきだとすら思っています。
イネーブルメントも、より重くなる
加えて、「育成・採用(=イネーブルメント)」の重要性も、どんどん増しています。
この領域は、ピープルとパイプラインの中間にあるような存在。
一定の構造化はできるものの、最終的には人をどう見るか、どう伸ばすかにかかってきます。
だからこそ、営業マネージャーが“プレイヤー兼任”でこの領域まで担うのは現実的ではない。
ここでもSalesOpsが「採用経路の分析」「オンボーディング定着率の可視化」などで支援する形が望ましい。
ただ、主導権はやはりマネージャー側に置くべき領域です。
これからの役割分担はこうなる
これらをまとめると、理想的な役割分担はこうです。
- パイプライン領域: SalesOpsが主導し、マネージャーは意思決定に集中
- ピープル領域: マネージャーが主導し、SalesOpsはヒントを与える補助役に徹する
この分担ができるようになると、営業マネジメントの精度とスピードは飛躍的に上がります。
SalesOpsはもはや「管理部門」ではない
昔の感覚では、SalesOpsは「裏方の管理部門」でした。
でも今は、営業マネジメントの中核にいる存在です。
意思決定の土台をつくり、営業戦略を構造化し、組織の稼働精度を底上げする。
SalesOpsは、もはや“営業を動かすエンジンルーム”になってきている。
営業マネージャーが“全部やる”時代は、もう終わった。
分担して、融合して、それぞれの役割に集中する。
それが、これからの営業組織の勝ち筋です。
不定期で気が向いた時に更新していきますので、どうぞお付き合いください。
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