
商談化率を高める、3つのマインドと8つの習慣——インサイドセールスの質を変えた実践録
こんにちは。セールスリクエストのカスタマーDiv.の大田です。
今回は、以前に私がインサイドセールスを担当していたある案件で成果が出せずに悩んだ経験と、そこから抜け出すために見直したマインドセット、そして実際に取り組んだ行動とその結果についてお話しします。これはあくまで私の実践記録ですが、同じような課題に直面している方のヒントになれば嬉しいです。
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なぜか受注に繋がらない——“最初の壁”
最初、私はあるSaaSツールの架電を担当していました。アポの件数自体は一定以上取れていたのですが、いざFS(フィールドセールス)にパスをしても、受注に繋がる商談が少ない。商談の質が伴っていなかったのです。
原因は明確でした。無形商材への理解不足による“自信のなさ”と、それに伴う“ヒアリングの浅さ”。トークの深掘りができず、会話も短時間で終了。結果として、お客様のニーズを掴む前に終話してしまう状況が続いていました。
もともと私は、形のある商材を扱ってきた経験が多く、SaaS型プロダクトのような抽象的な価値を言語化して伝えることに慣れていませんでした。「良さは分かっているけれど、自分の言葉にできない」。そんな状態でお電話をしていたのだと思います。
朝会での“3つの問い直し”——マインドの再構築
そんな中、支援先のマネージャーから朝会で共有されたのが、以下の3つの姿勢でした。
①差別化を意識する
競合ツールの営業だけでなく、あらゆるインサイドセールスがライバル。だからこそ、「自分だからできる会話」にこだわる。
同じような導入メリットでも、ただ機能を紹介するだけで終わるのか、それともお客様の状況をふまえて「それなら、こういう点がお役に立てるかもしれませんね」と一歩踏み込めるか。その違いが、お客様の反応に表れてくると感じました。
②GIVEを届ける
売り込みではなく、事前リサーチや仮説をもとに「お力添えしたい」という意志を示す。相手の名前を何度か呼ぶなど、特別感を伝える工夫も意識。
たとえば、「◯◯様のように複数拠点をお持ちの企業様ですと……」といったように、相手の状況に寄り添った会話を心がけるようになりました。
③刀を研ぐ
過去の架電ログを聞き、自分の口癖や話すスピード、声のトーンを振り返る。どの属性の相手に強いのか、苦手な領域はどこかを分析し、改善ポイントを洗い出す。
自分の架電ログを確認して「あれ、自分、思ってたより落ち着いて話せてる」と自信を持てる部分も見つかり、改善部分や課題感も含めて視野が広がりました。
この3つのマインドを意識して、私は行動を変えることにしました。
“できることからやってみた”——具体的に変えた8つの行動
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商談動画の視聴:FSがどう提案しているかを毎日見て、自社のスタイル・温度感を理解。
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スクリプトの自作とフィードバック:マネージャーに見てもらい、改善を重ねました。
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競合プロダクトの体験:他社製品を自分で触って、UIや強み・弱みを体感。
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FSとの連携強化:架電内容の相談や商談方針のすり合わせをこまめに実施。
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10分考えて分からなければ即質問:スピードと正確性を重視。
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リード進捗の追跡:自分が取ったアポが受注に至ったかまで確認。
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FS視点でのシミュレーション:自分がFSならどんな情報が欲しいかを意識してヒアリング。
- リスト別アプローチの最適化:リストの属性に応じてアプローチを調整。
中でも「自分がFSだったら、どこまで分かっていたら話しやすいか?」を常に意識してヒアリングできるようになったことで、アポの質が格段に上がりました。
そして、少しずつ見えてきた“変化”
こうした取り組みの結果、商談の質が上がり、契約更新も3ヶ月から6ヶ月に延長。また、無料利用だったお客様から「丁寧な対応だったので」と有償化のご連絡をいただくなど、成果が数字にも表れ始めました。
ISとして受注に直接関与しなくても、“受注につながる商談を届ける”という意味で、確かな手応えを感じる瞬間でした。
おわりに——“短時間でも、心を開いてもらう”ということ
インサイドセールスは、限られた時間の中でお客様の状況を引き出し、次の最適なアクションへとつなげる「前線の接点業務」です。ただスクリプトを読むだけでは、その価値は伝わりません。
「この電話に出てよかった」と思っていただけるような関係性の起点をつくれるか。その鍵は、事前準備・仮説構築・対話姿勢など、すべてに“GIVE”の姿勢が込められているかどうかだと感じています。
本稿で紹介した取り組みは特別なノウハウではありませんが、日々の仕事に向き合う中で「自分だからできる価値提供」を積み重ねることの大切さに気づかせてくれました。
これからも、商談機会の質を高め、信頼されるISとしてお客様と対話することに向き合っていきたいと思います。
ISは限られた時間の中でお客様の状況を聞き出し、最適な提案につなげる必要があります。ただスクリプトを読むだけでは伝わりません。
「この電話、出てよかった」と思っていただけるように。私たちのトークに、“GIVE”が込められているか。
完璧じゃなくていい。だけど、伝えたい想いは、言葉にしなければ伝わらない。そう思って、これからも挑戦を続けていきたいと思います。
インサイドセールスという仕事は、誰かの「困った」を受け取る最前線でもあると感じています。その分、丁寧な対話がきちんと届いたときには、大きな喜びがあります。
以上、実践と気づきの共有でした。ご覧いただきありがとうございました。