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エンタープライズ営業とは?大手企業のキーマン攻略・ABM・商談創出・稟議まで実践知を解説

エンタープライズ営業では、「役職が高い人に会えれば案件が進む」「まずは役員アポを取るべき」と考えられがちです。

しかし、実際に大手企業への営業やABMを行っていると、必ずしもそうではありません。セールスリクエストでは、大手企業を対象としたエンタープライズ営業、ABM、インサイドセールス、商談創出などの営業支援を行っています。あわせて、クライアント企業への支援だけでなく、自社でも大手企業をターゲットとしたABMや新規営業を実践してきました。その中で見えてきたのは、エンタープライズ営業の本当のボトルネックは「商談数」ではなく、「案件を動かす人に会えているか」にあるということです。

役員とのアポイントが取れても、実際の商談では担当部長が窓口になる。

部長と商談できても、抱えている課題と提案が一致していなければ案件は動かない。

提案を評価してもらえても、担当者が社内で稟議を通せなければ受注には至りません。

つまりエンタープライズ営業では、企業→部署→役職→課題仮説→商談→稟議→受注という一連のプロセスとして営業を設計する必要があります。本記事では、セールスリクエストが実際の支援や自社ABMを通じて得た知見をもとに、大手企業への営業で押さえるべき考え方を整理します。

目次[非表示]

  1. 1.エンタープライズ営業とは何か
    1. 1.1.SMB向け営業との違い
  2. 2.「役職が高い人=キーマン」という誤解
    1. 2.1.役員に届いても案件が止まる理由
    2. 2.2.セールスリクエスト自身のABM実践で分かったこと
  3. 3.エンタープライズ営業における「キーマン」の定義
    1. 3.1.キーマンに共通する7つの条件
  4. 4.発注側の視点——部長は何に反応するのか
    1. 4.1.大量の営業連絡の中で返信される条件
  5. 5.ABMのターゲティング設計「企業×部署×役職×課題仮説」
    1. 5.1.従来型ターゲットリストの限界
    2. 5.2.解像度を上げる4つの軸
  6. 6.課題仮説を作るための「シグナル」の探し方
    1. 6.1.課題仮説の材料になる主なシグナル
  7. 7.エンタープライズ営業のボトルネックは「商談数」ではない
    1. 7.1.真のボトルネックは「稟議を書く人」を味方につけられるか
  8. 8.顧客企業の中に「営業担当者」を作る
    1. 8.1.提案書ではなく「一緒に稟議書を作る」感覚
  9. 9.「評価されている」と「稟議を通せる」は別の話
    1. 9.1.商談数より「商談の質」を見る
  10. 10.エンタープライズ営業は「受注から逆算」して設計する
    1. 10.1.役員アプローチは「ゴール」ではなく一つのルート
  11. 11.AI時代ほど「課題仮説」の精度が問われる
  12. 12.セールスリクエストのエンタープライズセールス支援
  13. 13.まとめ|エンタープライズ営業は「誰に会えるか」ではなく「案件を動かせるか」

エンタープライズ営業とは何か

エンタープライズ営業(エンタープライズセールス)とは、大手企業を対象とした営業活動を指します。

SMB向け営業との違いは、企業規模や受注金額の大きさだけではありません。

関係者の多さ、意思決定の複雑さ、社内合意形成のプロセスこそが本質的な違いです。

SMB向け営業との違い

大手企業への営業では、以下のような特徴が商談の進み方に大きく影響します。

観点

SMB向け営業

エンタープライズ営業

関係部署・関係者数

少ない(1〜2名で完結することも)

多い(複数部署・複数役職が関与)

意思決定プロセス

現場担当者の裁量で決まりやすい

稟議・予算確保・社内合意が必要

リードタイム

短期(数週間〜1カ月)

長期(数カ月〜半年以上)

関与部署

現場部門中心

現場に加え法務・セキュリティ・購買なども関与

現場の担当者が「欲しい」と思っても、それだけでは売れません。

担当者が必要性を感じ、社内で提案し、上司や役員が納得し、関係部署の承認を得て、はじめて受注に至ります。

だからこそエンタープライズ営業では、「何件商談を作ったか」だけでなく「誰と商談を作ったのか」が重要になります。

「役職が高い人=キーマン」という誤解

エンタープライズ営業の相談を受けていると、「役員との接点を増やしたい」「決裁者へ直接アプローチしたい」という話がよく出てきます。

役員との接点自体には大きな価値がありますが、「役職が高い人=キーマン」と考えてしまうと、実際の案件創出とはズレが生じます。

役員に届いても案件が止まる理由

たとえば営業DXについて役員へ提案し、興味を持ってもらえたとします。

それでも「この件は営業企画部長が担当なので、話してみてください」と担当部署へ話が降りることは珍しくありません。

担当部長が「今は優先度が低い」「別の施策を進めている」と判断すれば、そこで案件は止まります。

重要なのは役職の高さではなく、その課題に責任を持ち、実際に施策や予算を動かす人が誰なのかを特定することです。

セールスリクエスト自身のABM実践で分かったこと

セールスリクエストでも、大手企業への新規開拓でABMを実践し、役員クラスへの接触を行ってきました。

当初は「役員に直接届けば案件化が早いのではないか」という仮説を持っていましたが、実際には役員接触をきっかけに商談が生まれても、その後は担当部長へ引き継がれ、実務での商談相手は部長クラスになるケースが大半でした。

役員と直接やり取りを続けて案件を進めたケースより、紹介された部長とコミュニケーションを重ねて案件を進めたケースの方が圧倒的に多かったのです。

役員アポが取れたことと、キーマンを攻略できたことはイコールではありません。

エンタープライズ営業における「キーマン」の定義

セールスリクエストでは、エンタープライズ営業におけるキーマンを「その課題を自分ごととして捉え、社内で実際に案件を動かす人」と定義しています。

最終決裁者が誰かだけでなく、案件を社内で前へ進めるのが誰かまで考える必要があります。

キーマンに共通する7つの条件

具体的には、以下のような特徴を持つ人物がキーマンに該当します。

  • 課題を具体的に認識している
  • そのテーマについて責任を持っている
  • 施策を検討する立場にある
  • 予算に一定の影響力を持っている
  • 他部署や上司を巻き込める
  • 社内で稟議を起案できる
  • 役員や決裁者へ施策の必要性を説明できる

多くの場合、この役割を担っているのは部長や責任者クラスです。

「最終決裁者は誰か」だけでなく「この案件を社内で前へ進めるのは誰か」まで問いを広げることが、エンタープライズ営業のキーマン特定における実践知です。

発注側の視点——部長は何に反応するのか

担当部長を特定できたとしても、それだけで商談が取れるわけではありません。

発注側の部長クラスへのヒアリングから見えてきたのは、返信の判断基準が非常に明確だという事実です。

大量の営業連絡の中で返信される条件

発注側の部長のもとには、毎週かなりの数のベンダーから営業連絡が届いています。

しかし返信するのはごく一部です。

「弊社は○○という会社です」「このようなサービスを提供しています」「大手企業への導入実績があります」

といった会社紹介型の連絡にはほとんど反応がありません。

返信の基準は、自社が今抱えている課題を、具体的に言い当てているかどうかの一点に尽きます。

一方で「SFAを導入しているものの、入力・活用が定着せず、営業会議では結局Excelを使っていませんか」という連絡には反応が返ってきます。

実際にその課題を抱えていれば「なぜ自社の状況が分かるのだろう」と興味を持つからです。

商品ではなく、自分の仕事について書かれていることが反応を生みます。

ABMのターゲティング設計「企業×部署×役職×課題仮説」

発注側の反応基準を踏まえると、エンタープライズ営業におけるターゲティングの意味も変わってきます。

従来型ターゲットリストの限界

「従業員1,000名以上」「売上100億円以上」「製造業」「部長以上」といった条件は、最初のスクリーニングとしては必要ですが、それだけではターゲティングの入口に過ぎません。

本来は企業→部署→役職→課題仮説まで解像度を上げる必要があります。

解像度を上げる4つの軸

「従業員1,000名以上の製造業」ではなく「A社の営業企画部長」まで特定し、さらに「なぜA社なのか」「なぜ営業企画なのか、なぜ部長なのか」「その部長は今何に困っている可能性があるのか」「なぜ今接触するのか」まで考える。

この4軸への解像度こそが、ABMの精度を左右します。

課題仮説を作るための「シグナル」の探し方

相手企業の課題は、内部情報がなくても外部に出ているシグナルからある程度推測できます。

課題仮説の材料になる主なシグナル

シグナルの種類

具体例

経営・財務情報

中期経営計画、決算説明資料

組織の動き

人事異動、組織変更、採用情報

事業・製品の動き

新規事業、新製品、拠点開設

外部発信

プレスリリース、展示会出展

IT・DX関連

導入システム、DX・AI関連の取り組み

たとえば営業企画人材を急に複数募集し始めている企業があれば、「営業組織の拡大に伴い、営業プロセスの標準化が課題になっているのではないか」という仮説を立てられます。

SFA導入のリリースが出ていれば「導入フェーズから定着・活用フェーズへ移っているのではないか」という仮説も立てられます。

大切なのはシグナルそのものではなく、そこから何が起きている可能性があるかを考えることです。

エンタープライズ営業のボトルネックは「商談数」ではない

営業組織では「月10件の商談を20件にしよう」といった商談数のKPIが設定されがちです。

しかし、無理に作った商談を増やしても、顧客企業側の稟議で落ちれば売上にはなりません。

真のボトルネックは「稟議を書く人」を味方につけられるか

エンタープライズ営業における重要なボトルネックの一つは、顧客側で稟議を書く人を味方につけられているかにあります。

大手企業では、商談で提案を評価した人が社内へ持ち帰り、上司や役員へ説明するケースが多くあります。

営業側からすれば「先方社内で検討中」ですが、顧客側ではそこから別の営業活動が始まっているのです。

商談相手は、いわば営業会社に代わって社内でその提案を売っている立場にあります。

顧客企業の中に「営業担当者」を作る

営業するのは自社の営業担当者だけではありません。

顧客企業の中にも、自社の提案を社内で売ってくれる人を作る必要があります。

提案書ではなく「一緒に稟議書を作る」感覚

サービス資料を渡して「社内でご検討ください」と伝えるだけでは不十分です。

以下のような情報を整理して渡すことで、担当者が社内説明に使える状態を作れます。

  • 現在抱えている課題と発生原因
  • 放置した場合の損失
  • 今取り組む必要性
  • 施策の内容と投資金額
  • 期待できる成果とROI
  • 他の選択肢との比較
  • 導入までのロードマップ

提案書を作るというより、顧客と一緒に稟議書を作るくらいの感覚を持つことが、案件を前へ進める上で重要です。

「評価されている」と「稟議を通せる」は別の話

「商談の感触は良かった」「提案をかなり評価してもらえた」にもかかわらず失注することがあります。

これは、提案を評価していることと、社内で稟議を通せることが別の話だからです。

商談数より「商談の質」を見る

担当者自身が「やりたい」と思っていても、「なぜ今やる必要があるのか」「既存施策ではダメなのか」を上司へ説明できなければ案件は止まります。

たとえば月20件の商談があっても大半が情報収集目的である場合と、月5件でもすべて課題責任者との商談である場合とでは、必ずしも前者の方が良いとは限りません。

「アポイントを獲得したか」ではなく「案件化・受注につながる商談を作れたか」という視点で商談の質を見ることが求められます。

エンタープライズ営業は「受注から逆算」して設計する

ここまでの内容を整理すると、エンタープライズ営業では受注から逆算して営業プロセスを設計する必要があります。

最終的に誰が承認するのか、その人へ誰が説明するのか、誰が稟議を書くのか、誰が施策を検討するのか、その人はどんな課題を抱えているのか、その課題を抱えていそうな企業はどこか、なぜ今その企業へ接触するのか——

この順番で考えると「従業員1,000名以上の企業を抽出してとにかく電話する」とはまったく異なる営業設計になります。

役員アプローチは「ゴール」ではなく一つのルート

役員との接点は、エンタープライズ営業において非常に重要です。

ただし役員アポそのものをゴールにしないことが大切です。

担当部長へ直接接触できないため役員から紹介してもらう、案件化した後に予算確保や全社方針との整合性を取るために役員を巻き込むなど、役員ルートも案件を前へ進めるための一つの手段として位置づけます。

「誰が一番偉いのか」ではなく「この案件を前へ進めるためには、誰を、どの順番で巻き込むべきか」を設計する視点が欠かせません。

AI時代ほど「課題仮説」の精度が問われる

AIや営業データベースの進化により、企業を探す、部署を調べる、役職者を探す、営業メールを書く、大量にアプローチするといった作業のコストは今後さらに下がっていきます。

つまり「誰に送れるか」「何通送れるか」だけでは差別化が難しくなります。

一方で「なぜこの会社なのか」「この人は今何に困っている可能性があるのか」「なぜ今接触するのか」を考えるには、企業理解・業務理解・営業経験が必要です。

企業×部署×役職×課題仮説の精度こそが、これからのエンタープライズ営業における競争力になります。

セールスリクエストのエンタープライズセールス支援

株式会社セールスリクエストでは、大手企業への新規商談創出を中心としたエンタープライズセールス支援を行っています。

単純に営業リストを受け取り、決められた件数へ電話してアポイントを獲得するだけではありません。

ターゲット企業の選定、狙う部署の特定、キーマンとなる役職・人物の特定、企業ごとの課題仮説設計、アプローチ方法の設計、商談創出、ナーチャリング、パイプライン管理・改善まで、受注から逆算して営業プロセスを設計します。アプローチも電話に限定せず、メール、レター、既存接点、紹介など、ターゲット企業やキーマンに合わせて接点を設計します。エンタープライズ営業は商談までのリードタイムも受注までのリードタイムも長くなりやすいため、短期的なアポイント数だけで成果を判断せず、中長期での案件創出を前提に営業活動を設計することを重視しています。

目指しているのは「アポイントを取る会社」ではなく「大手企業の案件を作る会社」であることです。

まとめ|エンタープライズ営業は「誰に会えるか」ではなく「案件を動かせるか」

エンタープライズ営業では、役員とのアポイントを取る、決裁者に会う、商談数を増やすといった分かりやすい指標に目が向きがちです。どれも重要な要素ではありますが、それだけでは大手企業の案件は動きません。重要なのは、企業→部署→役職→課題仮説までターゲティングの解像度を上げ、その課題を自分ごととして捉え社内で案件を動かす人物と接点を作ることです。そして商談後には、その人が上司や役員へ説明し、稟議を通すための材料まで提供する。役員アプローチも、ABMも、インサイドセールスも、そのための手段にすぎません。

セールスリクエスト自身がABMを実践し、クライアント企業のエンタープライズセールスを支援する中で感じてきたのは、「誰に会えるか」ではなく「誰に会えば案件が動くのか」を考えることの重要性です。

商談を作ることがゴールではなく、顧客企業の中に自社の提案を前へ進めてくれる人を作ること。

そして受注から逆算して、ターゲット、キーマン、課題仮説、接点、商談、稟議までを設計すること。

それが、セールスリクエストが考えるエンタープライズ営業です。

自社のエンタープライズ営業を見直したい、大手企業への新規開拓を強化したいという場合は、セールスリクエストへの相談をご検討ください。

株式会社セールスリクエスト
株式会社セールスリクエスト
インサイドセールス支援を行う会社です。SDR/BDR/ABM/エンプラなどの商談獲得代行や、Salesforce/HubSpotの活用・構築などの実行支援を行います。"顧客体験の向上"をモットーにインサイドセールス・BtoBマーケティングの発信を行なっています。

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