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成果が出るインサイドセールスに共通するヒアリングのコツとは?実践テクニック4選も紹介

インサイドセールスにおいて、成果を左右する要素の一つが「ヒアリング力」です。

単にアポイントを獲得するだけでなく、見込み顧客のニーズや課題を正確に把握し、商談化へとつなげるためには、質の高いヒアリングが欠かせません。

本記事では、インサイドセールスの現場で求められるヒアリングの役割と重要性、さらに成果を生むための具体的な方法やテクニックをご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.なぜインサイドセールスの「ヒアリング力」が成果を左右するのか
    1. 1.1.ヒアリングが案件の精度と商談化率に直結する
    2. 1.2.成果が出にくいインサイドセールスの典型例
  2. 2.営業ヒアリングのフレームワーク
    1. 2.1.BANT:見込み顧客の商談化・受注可能性を見極めるための基本フレームワーク
    2. 2.2.MEDDIC:大型案件・複雑な法人営業向けに設計された高度なヒアリングフレーム
  3. 3.成果を出すインサイドセールスのヒアリングテクニック4選
    1. 3.1.SPIN話法:信頼を築くための構造的ヒアリング
    2. 3.2.ペーシング:相手の話し方に合わせて安心感を演出
    3. 3.3.スケーリング質問:感情や課題感を数値化して深掘り
    4. 3.4.コンペリングイベント:動く理由が明確にする仮説提案
  4. 4.チーム全体でヒアリング力を高める方法
    1. 4.1.KPIに組み込むべきヒアリング精度の可視化指標
    2. 4.2.音声データを使った振り返り
    3. 4.3.トッププレイヤーの会話ログをナレッジ化 
  5. 5.セールスリクエストにおけるヒアリング力向上の取り組み
    1. 5.1.仮説提案型ヒアリング:コンペリングイベントを活用した先回り提案
    2. 5.2.属人化させないインサイドセールスチーム構築支援 
      1. 5.2.1.初動の質を担保するオンボーディング
      2. 5.2.2.稼働後も続くレビューと改善
      3. 5.2.3.信頼を守るルール遵守モニタリング
  6. 6.まとめ

なぜインサイドセールスの「ヒアリング力」が成果を左右するのか

インサイドセールスの成果は、単なる架電数やアポイント数だけで測れるものではありません。商談につながる「質の高い接点」をつくるには、相手の状況や課題を深く理解するヒアリングが必要です。

ヒアリングが案件の精度と商談化率に直結する

ヒアリング力が高いインサイドセールス担当者は、顧客の課題や状況、意思決定プロセスまでを正確に把握できます。これにより、提案の方向性が定まり、無駄なアポイントを避けることができます。

質の高いヒアリングによって、以下の成果が得られます。

  • ニーズの顕在度が把握できる
    顧客が抱える課題の緊急性や関心の高さを見極め、最適な提案が可能になります。
  • 社内連携がスムーズになる
    適切な情報共有により、フィールドセールスへの引き継ぎが容易になります。
  • 商談化率が向上する
    初期段階で理解度が高いため、案件の温度感が的確に伝わり、商談成立の可能性が高まります。

つまり、ヒアリングは単なる情報収集ではなく「課題解決の土台作り」なのです。

成果が出にくいインサイドセールスの典型例

一方で、成果が伸びないインサイドセールスには共通の失敗パターンがあります。

  • 聞くだけで掘り下げない
    顧客の言葉をそのまま受け取り、原因や背景を深掘りしない。
  • 目的のないアポ取り
    商談化の目的や見込み度を検証しないまま、アポイントを優先してしまうと、フィールドセールスが低品質な案件に時間を取られることになります。
  • 表面的な質問のみ
    「課題はありますか?」「ご予算はありますか?」といった定型的な質問だけでは本音は引き出せません。

このような「目的のない会話」は、商談化率を下げるだけでなく、企業としての信頼度も損なう結果につながります。

営業ヒアリングのフレームワーク

見込み顧客の温度感や商談・受注への可能性を正しく判断するためには、ヒアリング内容をフレームワークに基づいて整理することが効果的です。

特にインサイドセールスのように限られた時間で情報を引き出す場面では、感覚や経験に頼らず、一定の基準で判断する視点が不可欠です。

そこで役立つのが営業現場で広く活用されている「ヒアリングのフレームワーク」です。フレームワークを用いることで属人的な判断に頼らず、誰でも一定の基準で見込み顧客を評価できるようになります。

特にインサイドセールスのように短時間で情報を引き出す必要がある場面では、会話の中でどの視点を押さえるべきかを明確にしてくれる有効な指針となります。

代表的なものとしては、商談化の基本となる BANT と、複雑な法人営業に強い MEDDIC の2つがあります。それぞれの特徴と活用方法を見ていきましょう。

BANT:見込み顧客の商談化・受注可能性を見極めるための基本フレームワーク

BANT(バント)とは、以下4つの要素をもとに見込み顧客の確度を評価するフレームワークです。

  • Budget(予算)
    → 購入にあてられる予算があるか
  • Authority(決裁権)
    → 話している相手に意思決定の権限があるか
  • Need(ニーズ)
    → 解決すべき明確な課題が存在するか
  • Timeframe(導入時期)
    → 導入の具体的なタイミングが決まっているか

BANTの強みは、情報収集の抜け漏れを防ぎながら商談化の判断材料を構造的に把握できる点にあります。特にインサイドセールスにおいては「見込みあり」と判断する明確な基準として、チーム内で共有・統一しておくと有効です。

ただし、BANTは初期接点においてやや情報を得づらい項目もあるため、無理に聞き出そうとすると不自然な印象を与えてしまう恐れがあります。必要に応じて後工程のフィールドセールスにバトンを渡すタイミングも見極めながら活用することがポイントです。

MEDDIC:大型案件・複雑な法人営業向けに設計された高度なヒアリングフレーム

より複雑な意思決定プロセスを持つ法人相手の営業においては、MEDDIC(メディック)と呼ばれるフレームワークが有効です。以下の6つの観点で顧客情報を整理します。

  • Metrics(成果指標)
     → 定量的にどのような成果が求められているか
  • Economic Buyer(経済的意思決定者)
    → 誰が最終的な購買決定権を持っているか
  • Decision Criteria(評価基準)
    → 製品やサービス選定における比較ポイント
  • Decision Process(意思決定プロセス)
    → 社内の承認フローやスケジュール
  • Identify Pain(課題の特定)
    → 顧客が直面している明確な痛み・障壁
  • Champion(推進者)
    → 社内で導入を後押ししてくれるキーパーソン

MEDDICの最大の特徴は、「組織としての購買行動」に焦点を当てたフレームである点です。単なるニーズ確認にとどまらず、複数の関係者が関与する案件を受注へ導くための視点が網羅されています。

インサイドセールスの段階で全てを確認するのは困難な場合もありますが、MEDDICの視点をもとにしたヒアリング項目をあらかじめ設計しておくことで、情報の質と深度が大きく変わってきます。

成果を出すインサイドセールスのヒアリングテクニック4選

フレームワークで情報収集の軸を定めたうえで、実際の会話の中でどのように顧客の本音や課題を引き出すかが、インサイドセールスの成果を大きく左右します。

ここでは、成果を出している担当者が実際に用いている4つのヒアリングテクニックを紹介します。

SPIN話法:信頼を築くための構造的ヒアリング

SPIN話法は、顧客との会話を4つのステップに分け、自然な流れで課題を明らかにしていくテクニックです。

  • Situation(状況質問)
    → 「現在どのような仕組みで運用されていますか?」
  • Problem(問題質問)
    → 「現行の運用で、どんな点に課題を感じていますか?」
  • Implication(示唆質問)
    → 「その課題が続くと、業務にどんな影響がありますか?」
  • Need-payoff(解決質問)
    → 「仮にそれが改善されたら、どのようなメリットがありますか?」

このように、顧客に自ら気づきを与えながらニーズを顕在化させることで、押し売り感を与えずに商談の前提を整えることができます。

SPIN話法は特に、新規リードや課題がまだ曖昧な相手との初回接点で効果を発揮します。

ペーシング:相手の話し方に合わせて安心感を演出

ペーシングとは、相手の話し方・スピード・語彙・感情表現に意識的に寄せて会話することで、無意識のレベルで信頼感を築く手法です。

例えば、

  • ゆっくり話す相手には、こちらもゆっくり返す
  • 感情を込めて話す相手には、同様の温度感で共感する
  • 専門用語を多用する相手には、理解しつつも噛み砕いて確認する

このような形で、「この人は自分のペースを理解してくれる」という心理的安全性を相手に与えることができます。

特に電話やオンライン商談など非対面の場では、こうした細やかな調整が相手の警戒心を和らげ、情報の開示率を高める要因となります。

スケーリング質問:感情や課題感を数値化して深掘り

「その課題、どれくらい困っていますか?(10点満点中で言うと?)」

こうした質問はスケーリング質問と呼ばれ、顧客の感情的な温度感や意識レベルを定量的に把握するのに有効です。

例えば、

  • 「導入の緊急度は何点くらい?」
  • 「今の体制に満足している度合いは?」
  • 「その課題に対して投資してもよいと考えている度合いは?」

といった質問に対し、顧客が「8点」「3点」などと答えることで、温度感を感覚ではなく数値で判断できるようになります。

また、「3点と答えたのは、どんな理由が大きいですか?」と掘り下げることで、より深いインサイトが得られます。

コンペリングイベント:動く理由が明確にする仮説提案

コンペリングイベント(Compelling Event)とは、顧客が現状を変える必要に迫られている「切実なきっかけ」や「外的要因」のことを指します。

例えば、

  • 現行システムのサポート終了
  • 新規事業の立ち上げスケジュール
  • 組織再編や人事異動に伴う業務再設計
  • 競合の動きによる焦り

などが該当します。

このコンペリングイベントを先回りして提示し、顧客の意思決定を加速させるヒアリングが効果的です。

例えば「今年度中に組織体制の変更があると伺いましたが、それに向けて業務プロセスを見直す予定などはありますか?」といった問いかけにより、顧客側がまだ言語化していない課題や行動予定を引き出します。

この手法は、受け身のヒアリングでは得られない情報を得るだけでなく、こちらから提案主導権を握るきっかけにもなります。

チーム全体でヒアリング力を高める方法

個人スキルに依存しがちな「ヒアリング力」ですが、属人化を防ぎチーム全体の成果につなげるには、組織的なマネジメントが欠かせません。ここではインサイドセールス部門全体のヒアリング精度を高めるための実践的な工夫を紹介します。

KPIに組み込むべきヒアリング精度の可視化指標

多くの営業チームでは、架電数やアポ獲得数が主なKPIとして管理されています。しかし、ヒアリングの質に着目した指標を設定することで、商談化に寄与する会話ができているかを定量的に評価できるようになります。

例として、以下のようなKPIが有効です。

  • BANT / MEDDICの取得率(取得項目数の割合)
  • 顧客のペイン発見率(「課題が明確になった」と記録された案件の割合)
  • アポ→商談化率(ヒアリング内容が商談に寄与したかを見る)

こうした定量評価により、「数をこなす」から「質を高める」営業文化への転換が促されます。また定期的なモニタリングにより、早期のスキル改善やコーチングにつなげることも可能です。

音声データを使った振り返り

ヒアリング力を育成するうえで効果的なのが、実際の音声データを活用した振り返りとコーチングです。

具体的には以下のようなプロセスで運用します。

  1. 会話音声を録音・保存
    → オンライン商談や架電の録音ツールを活用
  2. 自己レビュー&上長によるフィードバック
    → 指定の観点(例:ニーズの深掘り、質問の順序)に沿ってコメントを記入
  3. 1on1やチームミーティングで共有・改善
    → 他メンバーと聞き比べ、ベストプラクティスを学ぶ

このような取り組みによって、「どう話すか」ではなく「なぜこの聞き方をしたのか」という質問意図を言語化する力が身につきます。

トッププレイヤーの会話ログをナレッジ化 

成果を上げているインサイドセールス担当者のヒアリング内容をチームの資産とするには、会話ログの「可視化と共有」が鍵となります。

最近では文字起こしや要約ツールを活用することで、効率的なナレッジ化が実現できます。

▼活用のステップ例

  1. 通話内容をテキスト化
  2. 優秀な会話ログをタグ付け・分類(例:「顧客課題の明確化が秀逸」など)
  3. ナレッジベースに蓄積し、いつでも参照可能に
  4. オンボーディングやOJTで活用し、新人の学習効率を向上

このような仕組み化により、属人化を防ぎ再現性のあるヒアリング技術の共有が実現できます。

セールスリクエストにおけるヒアリング力向上の取り組み

セールスリクエストではインサイドセールスの成果を最大化するために、仮説提案型のヒアリング力と即応性、組織的な仕組み化を重視した支援を提供しています。

単なるテレアポ代行ではなく、顧客の意思決定を前進させる戦略的なインサイドセールスを実現するのが特長です。

仮説提案型ヒアリング:コンペリングイベントを活用した先回り提案

セールスリクエストでは、事前に顧客の業界・業態・状況を徹底的に調査し、可能性のある動く理由(コンペリングイベント)を仮説立てることからヒアリング設計が始まります。

具体例として

  • 「◯月に新制度が始まるとのことですが、準備に向けて見直しのご予定はございますか?」
  •  「来期からの法令改正に対応するため、同業界内では既に導入が進んでいるケースが多く見られます。御社ではご検討状況はいかがでしょうか?
  • 「最近、XXのような市場環境の変化が起きており、同業他社では〇〇の早期導入が進んでいます。御社においても同様の対応が必要になる可能性がありますが、ご検討状況はいかがでしょうか?」

このように顧客がまだ自覚していない変化のタイミングを捉えた質問を投げかけることで、ニーズを顕在化させ、商談へとつなげます。

この仮説提案型アプローチは、受け身のヒアリングに比べて商談化率が高く、結果としてフィールドセールスの効率も飛躍的に向上します。

属人化させないインサイドセールスチーム構築支援 

インサイドセールス支援で大切なのは成果を出すことに加え、その成果を「誰が担当しても再現できる」状態をつくることです。

セールスリクエストでは、支援の品質を均一に保つために、専門部署であるクオリティマネジメントチームを設置し、以下のような属人化を防ぐ仕組みを整えています。

初動の質を担保するオンボーディング

新規メンバーには、経験に応じた個別オンボーディングを実施。

未経験者には営業用語やトーク構成の基礎研修を、経験者には案件固有の要件や業界知識を重点的に共有します。

またクライアントとの折衝内容に応じたトーン整備し、ロールプレイングも実施。これにより初動から安定した成果を出せる体制を整えられています。

稼働後も続くレビューと改善

メンバー稼働後は、コールログの定期レビュー(月1回以上)や1on1を実施。

トーク運用の実態や案件特有の適応度をチェックし、改善が必要な場合は即座にマネージャーと連携します。

実際にアポ獲得数が1か月で3件から14件に改善した事例もあり、再現性と成果向上を両立しています。

信頼を守るルール遵守モニタリング

成果の裏側には「行動品質」も欠かせません。クオリティマネジメントチームでは架電ルールの徹底、折り返し対応の実施状況、稼働時間のバランスといった行動面をモニタリング。

信頼を損なうリスクを未然に防ぎ、クライアントからの長期的な信頼を確保します。

まとめ

インサイドセールスにおける「ヒアリング力」は、商談創出の成否を分ける重要なスキルです。

自社で商談化に課題を感じている場合は、今回ご紹介したヒアリングの考え方や仕組みを導入し、改善していきましょう。

より実践的な改善や体制構築を目指す場合は、セールスリクエストのような専門支援の活用も有効です。

株式会社セールスリクエスト
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インサイドセールス支援を行う会社です。SDR/BDR/ABM/エンプラなどの商談獲得代行や、Salesforce/HubSpotの活用・構築などの実行支援を行います。"顧客体験の向上"をモットーにインサイドセールス・BtoBマーケティングの発信を行なっています。

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