
HRTech業界で成果を出すインサイドセールスの鍵は「ターゲット別アプローチ」と「継続的な関係構築」
HRTech業界向けインサイドセールス戦略
はじめまして。インサイドセールスディレクターの三牧です。
投資用不動産の営業職からキャリアをスタートし、前職ではHR系のSaaS企業にインサイドセールスとして入社してから今まで7年程インサイドセールスに携わってきました。
インサイドセールス組織の立ち上げから成長・安定期までを経験してきたので、その知見を活かしながら、現在はお客様の課題解決や成果創出に取り組んでいます。
今回は「HRTech業界におけるインサイドセールス戦略」について、私の経験をもとにお話ししたいと思います。
HRTech業界は急速に進化し、多くの企業が人事・労務管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。しかし、競争が激化する中で、ただ優れたツールを提供するだけでは導入に至らないケースも増えています。
「企業が本当に求めているものは何か?」「インサイドセールスとしてどのように価値を伝えればよいのか?」
こうした疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、HRTech業界におけるターゲットごとのアプローチ方法、既存顧客へのクロスセル・アップセル戦略、時事トレンドを活用した提案のポイントなど、インサイドセールスで成果を上げるための具体的なノウハウを詳しくご紹介します。
HRTech業界でのインサイドセールスをより効果的に進めたい方に、ぜひ参考にしていただければと思います。
目次[非表示]
- 1.HRTech業界向けインサイドセールス戦略
- 2.1.HRTech業界の市場動向とインサイドセールスの必要性
- 3.HRTech企業のターゲット市場別インサイドセールス戦略
- 3.1.(1) SMB~MM企業向けアプローチ
- 3.1.1.定量的な効果を強調する
- 3.1.2.同業界・同規模企業の導入事例を活用
- 3.2.(2) エンタープライズ企業向けアプローチ
- 3.2.1.主要ターゲット担当者を明確にする
- 3.2.2.時事キーワードを活用する
- 4.3.既存顧客へのクロスセル・アップセル戦略
- 4.1.既存顧客へのアプローチの重要性
- 4.1.1.クロスセル・アップセルのアプローチ手法
- 5.まとめ
- 6.参考事例
- 6.1.HRTech業界導入事例①
- 6.2.HRTech業界導入事例②
1.HRTech業界の市場動向とインサイドセールスの必要性
HRTech業界の成長と競争激化
HRTech業界は年々成長し続けており、企業の人材管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する重要な役割を担っています。特に、人事労務管理システムや採用管理システムなどの「Must have」サービスは、企業が円滑に業務を進めるために不可欠なツールとなっています。しかし、競争の激化と市場の成熟により、企業の人事部門が求めるサービスは多様化し、「Nice to have」なサービスも導入の検討対象となるようになりました。
HRTech業界で求められるソリューション
例えば、従業員のパフォーマンスを向上させるためのタレントマネジメントシステムや、組織の健康状態を可視化するエンゲージメント調査ツール、さらにはピアボーナス制度を支援するツールなどが挙げられます。これらのサービスは、企業の成長や従業員の働きやすさに直結するものの、導入の優先順位は企業によって異なります。そのため、インサイドセールスとしては、企業の課題やニーズに応じた適切なアプローチを取ることが求められます。
HRTech企業のターゲット市場別インサイドセールス戦略
(1) SMB~MM企業向けアプローチ
中小企業(SMB)から中堅企業(MM)にかけては、導入の意思決定が比較的スピーディーに行われることが多く、短期間で成約に結びつくケースが多いです。しかし、この層の企業は導入後の解約率が高くなりがちであり、長期的な顧客関係の維持が課題となります。そのため、以下の戦略を意識したアプローチが重要です。
定量的な効果を強調する
SMB~MM企業では、コスト削減や業務効率化が導入の重要な要素となります。例えば、「このシステムを導入することで、評価業務にかかる時間を1時間から10分に短縮できます」など、具体的な数値を示すことで、導入のメリットを直感的に伝えられます。
同業界・同規模企業の導入事例を活用
また、SMB~MM企業の意思決定者は、同業界や同規模の他社が導入しているかどうかを重視する傾向があります。そのため、過去の導入事例や業界特有の成功事例を積極的に訴求し、「同じ業界の企業で導入が進んでいる」「同規模の企業で成功事例が出ている」といった情報を伝えることで、安心感を与えられます。
(2) エンタープライズ企業向けアプローチ
エンタープライズ企業に対しては、導入プロセスが長期化しやすく、担当者との関係構築が極めて重要になります。特に、初めから決裁者にアプローチするのは難しく、担当者からの上申を通じて意思決定が進むケースがほとんどです。そのため、以下のポイントを押さえた戦略を展開する必要があります。
主要ターゲット担当者を明確にする
エンタープライズ企業では、人事評価担当や教育担当、経営企画、情シス(情報システム担当)が導入を検討する主要な部署になります。IS(インサイドセールス)がアプローチする際は、これらの部署の担当者に適切な情報を提供し、関心を持ってもらうことが大切です。
時事キーワードを活用する
HRTech業界では、「人的資本経営」「リスキリング」「ジョブ型雇用」「ダイバーシティ&インクルージョン」などのトレンドワードが注目されています。これらのキーワードは、エンタープライズ企業の経営層や人事担当者が関心を寄せているテーマであり、適切に活用することで相手の関心を引くことができます。
- 人的資本経営:従業員を重要な経営資源と捉え、スキルやキャリアの成長を支援する考え方。タレントマネジメントやエンゲージメント調査ツールが関連する。
- リスキリング:技術革新に適応するためのスキル再教育。eラーニングシステムやスキル管理システムの導入が進んでいる。
- ジョブ型雇用:職務を基準とした雇用形態への移行。タレントマネジメントや評価システムの導入が重要。
- ダイバーシティ&インクルージョン:多様性を活かす組織づくり。エンゲージメント調査ツールや従業員満足度向上施策が求められる。
3.既存顧客へのクロスセル・アップセル戦略
既存顧客へのアプローチの重要性
既存顧客に対するクロスセル・アップセル戦略は、長期的な顧客関係の構築と売上維持率(NRR)の向上に欠かせません。特にHRTech業界では、派生サービスが多く、既存顧客との関係性を活用した追加提案が効果的です。
クロスセル・アップセルのアプローチ手法
- 主力サービスを入口に、追加導入を促す:タレントマネジメントシステム導入後に、予実管理や労務管理の導入を提案する。
- 導入ハードルの低いサービスから入る:低コストで短期間で導入できるサービスを最初に提案し、段階的に拡張を促す。
- カスタマーサクセス(CS)チームと連携する:CSチームが収集した顧客ニーズをCRM上で管理し、適切なタイミングで追加提案を行う。
まとめ
HRTech業界におけるインサイドセールスでは、
- 市場の特性を理解し、ターゲットごとのアプローチを最適化すること
- 時事キーワードを活用し、顧客の関心を引くこと
- 定量的な効果を示し、導入のハードルを下げること
- 既存顧客との関係を活かし、クロスセル・アップセルを積極的に行うこと
- カスタマーサクセスチームとの連携を強化し、顧客の課題を的確に把握すること
参考事例
より具体的なHRTech業界におけるインサイドセールスの活用事例は、以下のリンクもご参照ください。
HRTech業界導入事例①
https://www.sales-request.com/case/661
HRTech業界導入事例②
https://www.sales-request.com/case/4389
HRTech業界のインサイドセールスに携わる皆さんの参考になれば嬉しいです!