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FDEの現場から聞いた業務効率化のリアル/原ブロVol32

こんにちは。セールスリクエスト代表の原です。 

日々様々な企業のBtoB営業支援に入っている中で思ったことをつらつらと書いていきます。

本日は『業務効率化のリアル』について

とあるAI受託企業から、FDEの現場で起きた面白い話を聞きました。

あるエンタープライズ企業でAIによる業務効率化を進めるため、人事、営業、総務など各部署の業務を洗い出し、「AIで効率化できる業務はないか」を探して実装していきました。

結果的に業務効率化そのものには成功しました。

ただ最終的には、営業以外の効率化プロジェクトはすべて中止という判断になったとのこと。

この話には、これから企業がAI導入を考えるうえで重要な示唆がかなり詰まっていると思うので、つらつらとまとめてみました。

「時間削減」と「コスト削減」は違う

まず面白かったのが、AIによって業務時間を削減できても、会社から出ていくお金はほとんど変わらなかったことです。

そもそも残業は会社・部署ごとに適切に管理されており、そこまで多くないです。

AIによって1日1時間の業務を削減できたとしても、残業代が減るわけではないです。

もちろん、1人あたり1時間削減できたからといって社員を減らすこともできません。

AIの導入効果として、

「年間10,000時間削減」

「1人あたり月10時間削減」

のような数字を見ることは多いです。

そこに人件費単価を掛けて、「年間数千万円の削減効果」と計算するケースもあります。

ただ、実際に人件費も残業代も外注費も減っていないのであれば、その数千万円はPL上には存在しません。

時間削減とコスト削減はイコールではありません。

AI導入のROIを考えるうえで、ここはかなり重要だと思います。

空いた時間でクリエイティブな仕事は自然には起きない

もう一つ面白かったのが、効率化によって生まれた時間の使われ方でした。

AI導入ではよく、「単純作業をAIに任せて、人間はより付加価値の高い仕事に集中する」と言われるが、1時間の単純作業を削減したからといって、翌日から1時間分の高付加価値業務が自然発生するわけではありません。

「空いた時間で何をするのか」が定義されていなければ、単純に余白が生まれるだけです。

効率化された結果、仕事が少し楽になりました。

もちろん従業員にとっては良いことだと思います。

ただ、企業が数百万円、数千万円を投資してAIプロジェクトを継続する理由としては弱いです。

AI導入では、時間を削減するだけではなく、その時間を何に再投資するのかまで設計する必要があります。

なぜ営業だけは継続されたのか

一方で、営業部門だけはプロジェクトを継続して、AIによって業務が効率化された結果、顧客折衝の時間を捻出できない言い訳ができなくなり、実際にアプローチ量を増やせたとのことです。

これはわかりやすいです。

営業の場合、

業務時間が減る

→顧客へのアプローチ時間が増える

→顧客接点が増える

→商談機会が増える

→売上につながる

という因果関係を作りやすいです。

削減した時間の「行き先」が最初から存在しているので、

処理能力が上がったとき、その増加分を事業成果へ変換できる仕事だったということです。

AIと相性がいいのは「忙しい部署」とは限らない

ここから考えると、AI導入先の選び方も少し変わってきます。

普通だと、

  • どの部署の工数が大きいか
  • どんな単純作業が多いか
  • どこならAIで効率化できそうか

から考えたくなります。

でも、本当に見るべきなのはそこではないのかもしれないです。例えば、

  • 営業ならアプローチ件数を増やせる。
  • 採用なら候補者へのアプローチ数を増やせる。
  • 審査業務なら処理件数を増やせる。
  • 制作業務なら納品可能件数を増やせる。

AIと相性がいいのは、単純に「忙しい部署」ではありません。

処理能力の向上を、売上や事業キャパシティの拡大へ変換できる部署なのだと思います。

コストセンターのAI化は「増員しなくて済む」まで考える

もちろん、人事や総務などのコストセンターにAIを導入する意味がないわけではないです。

ただ、ROIの考え方を変える必要があって、例えば10人の部署をAIによって30%効率化したとしても、翌日から7人にできるとは限らないです。

一方で、「事業成長に伴って来年3人採用する予定だったが、AI導入によって採用しなくて済んだ」のであれば、明確な経済効果になります。

既存社員を減らすことだけがコスト削減ではありません。

将来必要だった増員を抑制することも、AIによる大きなROIになります。

あるいは、外注していた業務を内製化できるのであれば、外注費削減としてPLに反映されます。

AIによって何時間減ったかではなく、

「会社から出ていくお金がいくら減ったのか」

というところまで見る必要があります。

FDEの価値は「何をAI化しないか」を決めることかもしれない

FDEの役割や高付加価値になるのは、AI実装だけでないのではないかと思います。

AIの実装自体は、これからどんどん簡単になります。

そうなると、「この業務もこの作業もAI化できます」と提案するだけでは、価値が出にくくなります。

むしろ価値があるのは、「そこはAI化できるけど経営数字が変わらないデータもあるので経営インパクトは小さいので、経営インパクト大きい順で優先度洗い出して行きましょう」

と言えることなのかなと思います。

あと削減した時間や工数をどこへ再投資すればPLが動くのかまで設計する。

AIを実装する人というより、AIと経営数字を接続する人みたいなイメージ。

FDEの価値は、むしろこちらに寄っていくのかもしれません。

AI導入の起点を逆にする

AI導入は、「どの業務をAIで効率化できるか」から始まることが基本路線ですが、考えるべきは逆なのかもしれないです。

まず、「経営数字のどこを動かしたいのか」を決めます。

  • 売上を増やしたい。
  • 外注費を減らしたい。
  • 来季以降の部署人件費を抑制したい。

そこから逆算して、どの業務をAI化すればそこにつながるのかを考えます。

営業であれば、「月100時間削減できました」ではなく、「100時間削減したことで、アプローチ件数が500件増え、商談が20件増えた」まで見ます。

バックオフィスであれば、「年間3,000時間削減しました」ではなく、「3,000時間削減したことで、予定していた2名の増員が不要になった」まで見ます。

削減した時間が、最終的に何へ転換されたのか。

ここまでつながって初めて、AI導入のROIが見えてきます。

AIで「何ができるか」は、さらにコモディティ化していきます。

だからこそ競争力になるのは、AIでできることを増やすことではなく、経営数字から逆算して「何をやるべきか、何をやらないべきか」を決める力なのだと思いました。

不定期で気が向いた時に更新していきますので、どうぞお付き合いください。

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原 秀一/代表取締役
原 秀一/代表取締役
株式会社セールスリクエストの代表取締役。自身が現場で培った営業ノウハウを発信。著書『インサイドセールス実践の教科書』

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